▼大学3年生が就職活動を本格化させるこの時期、街にはリクルートスーツを身にまとった学生が行き交っている。今年経団連が2021年春入社(現大学2年生)から新卒採用の活動指針を廃止すると発表したことから、現大学3年生が「経団連ルール」で就職活動をする最後の世代となる。
▼日本の大学に蔓延する「シューカツ」の無言の圧力。自分の意思によらず就職活動を始める学生も少なくないのではないか。人は身を置く環境によって、無意識のうちに影響を受けているのである。
▼先日、起業家支援を行うNPO法人ETIC.の主催イベント『Social Impact for 2020 and Beyond~次世代リーダーと創る未来の話~』が渋谷ヒカリエで開催された。登壇者からは、「学生に、なぜ就職するのかと聞くと、社会を知るためと返ってくる。会社で働くこと=社会を知ること、なのか甚だ疑問である」「新卒一括採用は思考停止状態の表れである」といった話が出た。
▼自分自身、行政書士として起業家支援に取り組んでいて感じるのは、起業願望を持ちながら会社勤めを選択する人が思いのほか多いということだ。実際に起業に踏み出す人はほんの一部である。その理由について、イベントでは「親ブロック」、つまり親からの引き留めや親の期待を裏切りたくないという思いを乗り越えなくてはならないからだ、という話が出た。
▼自分の子には安定した生活を送ってほしい、そう願うのは親であれば当然なのかもしれない。「みんな安定を求めて大企業に就職しようとする。しかし、安定を求める人ばかりが集結した企業は、やがて倒産への道を歩むことになる」という登壇者の言葉は、非常に興味深いものであった。
▼チャールズ・ダーウィンは、「最も強い者が生き残るわけではなく、最も賢い者が生き残るわけでもない。変化に適応した者が生き残るのである」と唱えたとされている。安定を求めて、変化を嫌う者ばかりが集結した組織が衰退していくことは、この言葉からも読み取ることができるだろう。
▼日本のキャリア教育は、これまで「何になるか(職業)」を問うてきた。しかし、AIをはじめとしたテクノロジーが「職業を奪う」ようになった今、「どうあるか(在り方)」を問うていくべきではないか。「自分が実現したい未来において、自分はどうありたいか」と。